ラマンスペクトルを、文献情報と照らし合わせる

このピークは、何に由来するのだろう?

ラマンスペクトルを測定したあと、論文や参考資料を探し、記載された波数と実測ピークを一つずつ照合する。
そんな作業を、測定データと文献情報を同じ画面に表示しながら進められるようにしたのがAtlas 2.0 for Raman Spectroscopy です。

Timegateの3次元測定ラマンデータから時間ゲート範囲を選び、2次元スペクトルを生成します。
ベースライン補正を行い、研究テーマごとに登録した文献の波数情報を重ねて表示できます。下記では、現時点での実際の画面に沿って使い方をご紹介します。

1.測定データを読み込み、3次元で確認する

まず、Timegateの3D CSVデータをアップロードします。

[画像:3次元スペクトルデータのアップロード、2次元データも可能です]

読み込んだデータは、波数・時間・強度の3次元スペクトルとして表示されます。
回転や拡大を行いながら、時間によってスペクトルがどのように変化しているのか確認できます。

薄い緑色の壁の範囲で挟まれた領域は、適用している時間ゲート範囲です。
2次元スペクトルに使う時間区間が、元の3次元データのどこに位置するかを確認できます。

[画像:3次元スペクトルと適用時間ゲート範囲]

2.時間プロファイルを見ながら、時間ゲートを選ぶ

次に、指定した波数範囲の時間プロファイルを確認します。

表示されたゲート候補を出発点に、開始時刻と終了時刻を調整できます。選択した時間区間の実測スペクトルを平均し、2次元スペクトルを生成します。
画面には、実際に適用した時間区間と平均に使用した測定点数も表示されます。時間ゲート範囲は、任意の範囲に変更も可能です。

[画像:時間プロファイルと時間ゲート選択]

3.ベースラインを補正する

ベースライン補正は、「なし」「Medium」「High」から選択できます。補正条件を切り替えながら、背景の変化とピークの見え方を確認します。

[画像:ベースライン補正と研究テーマの選択画面]

ここまでの操作で、文献情報と照合するための2次元スペクトルが得られます。使用した時間ゲート、ゲート幅、ベースライン補正の条件は、グラフ上部に表示されます。

縦軸の表示範囲を固定することもできるため、時間ゲートを変えた際の強度変化を、同じ目盛りで比較できます。

[画像:文献波数を重ねる前の2次元スペクトル]

4.研究テーマに登録した文献・波数情報を選ぶ

Atlas 2.0では、文献や参考情報を研究テーマごとに整理できます。

解析画面で”研究テーマ”を選び、その”研究テーマ”に登録した文献をプルダウンリストから選択すると、紐づけて登録した波数情報をスペクトルに反映できます。
複数の文献を選択したり、個別の波数の表示・非表示を切り替えたりすることも可能です。
例えば、試料そのものの候補だけでなく、溶媒に由来するピークを確認するための参考情報も登録しておけます。

[画像:研究テーマ・文献・個別波数の選択]

5.実測ピークと参考波数を、同じグラフで照合する

選択した波数情報は、2次元スペクトル上に縦線として表示されます。グラフ上部には、波数と登録した帰属情報が表示されます。
今回の例では、378、922、1379、2250 cm⁻¹などの参考波数を重ねています。2次元スペクトル情報に対して、あらかじめ登録していた研究テーマに含まれる波数情報が下記スペクトルに反映されることで、実測ピークとの位置関係を確認しやすくなります。
表示する波数の許容範囲も設定できるため、参考波数の周辺にあるピークを目視で検討できます。

[画像:選択した参考波数を重ねたスペクトル]

波数の一致は、ピークの由来を検討する手がかりです。試料の組成や測定条件、ほかのピークとの整合性も合わせて判断します。

6.出典を確認しながら、解釈を進める

スペクトルの下には、選択した文献・参考情報と、登録した波数、帰属、成分・構造などの一覧が表示されます。
波数情報の出典となる論文PDFを研究テーマごとに登録し、その文献に紐づけて波数や帰属情報を登録できます。
登録した情報は、解析画面で研究テーマや文献を選択することで呼び出し、実測スペクトルに重ねて表示できます。
グラフでピークの位置関係を確認し、その下で出典と登録内容を確認することで、どの情報を根拠にピークを解釈しているかを追いやすくしています。

[画像:出典情報と登録波数の一覧]

測定データと、蓄積した知識をつなぐ

Atlas 2.0で目指していたのは、時間ゲートの選択から文献照合までをつなぎ、スペクトルを解釈しやすい環境をつくることでした。
研究テーマごとに文献や波数情報を蓄積し、新しい測定データをアップし参照する。測定を重ねるとともに、比較に使える情報も育てていく使い方を想定しています。
Atlas 2.0は現在も開発中ですが、研究での活用や評価、共同開発にご関心のある方は、Photontrace(pt@photontrace.jp)までおお知らせください。 

受託測定やPoCのご依頼から開発・改善に

Photontraceでは、これまでお客様からのご依頼により、Timegateラマン分光器を用いたPoCや受託測定を行っております。
Atlas 2.0には、測定・解析の現場で得た経験を反映しています。
測定結果の整理、文献との照合、レポート作成をより円滑に進め、お客様が次の検討や判断へより早く進めるよう、改善を重ねています。
最初は、受託測定結果のレポート作成までをより早く円滑に進めたいという観点で作成していました。
実際の試料や解析で見えてきた課題を、一つずつ機能や操作性の改善につなげています。

現在はTimegateラマン分光器が出力する3次元CSV(波数、強度、時間)、2次元CSVデータ(波数、強度)を対象としていますが、今後は、従来のラマン分光器から出力される2次元CSVデータへの対応も検討しています。ご利用の装置のデータで解析したいというご要望がございましたら、装置名とともに、共有可能なスペクトルデータのサンプルをお送りください。データ形式を確認し、対応を検討いたします。

また、Webブラウザからご利用いただける形式でのアプリの公開も検討しています。ご利用を希望される方は、Photontraceまでお気軽にお問い合わせください。

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