

Timegated® Ramanによるバイオプロセスモニタリングで生産効率を向上
Timegate Instrumentsは、VTTのバイオプロセスエンジニアリングおよび光学計測チームと共同で、オボアルブミン生産のバイオプロセスをモニタリングするパイロット研究に取り組んでいます。
このパイロット研究は、糸状菌を利用してオボアルブミンをバイオテクノロジーにより生産した、過去の研究成果を基礎としています。研究結果の発表を、ぜひ楽しみにお待ちください。
このたび、Timegate Instrumentsとの実りある共同研究を開始しました。一般的な発酵プロセス計測の枠を超えた最先端の高度なプロセスモニタリング技術を共同で開発し、高品質なデータの取得とバイオプロセスへのより深い理解を目指しています。
Timegateの技術を用いることで、プロセスをリアルタイムかつオンラインでモニタリングでき、生産宿主である微生物の生理状態や健全性について、より多くの知見を得ることができます。
VTTのシニアサイエンティストであるKiira Vuoristo氏は、このように説明しています。

バイオプロセスに使用する種培養液を手にする、VTTのシニアサイエンティスト Kiira Vuoristo氏と、
Timegateのシニアアプリケーションスペシャリスト Amuthachelvi Daniel博士。
増え続ける卵白の需要
卵白は、食品産業で利用される最も重要なタンパク質源の一つです。世界の卵白粉末の消費量は、2020年に160万トンに達し、今後も市場のさらなる成長が見込まれています。
需要の増加に伴い、持続可能性と倫理の両面における懸念も高まっています。たとえば、採卵のみを目的とした鶏の飼育に加え、大量の温室効果ガス排出、水不足への影響、生物多様性の損失などが問題となっています。
バイオテクノロジーによるオボアルブミン生産
卵白粉末に含まれるタンパク質の半分以上を占めるのがオボアルブミンです。VTTは、糸状菌を利用してオボアルブミンを生産することに成功しています。
現代のバイオテクノロジーを用いて、オボアルブミンの設計情報を持つ遺伝子を糸状菌に導入します。その後、糸状菌によって生産されたオボアルブミンを細胞から分離し、濃縮・乾燥することで最終製品とします。

タンパク質生産の第一段階:シャーレ上で培養された糸状菌の菌糸。
環境面での利点
VTTの記事によると、卵白の主要タンパク質であるオボアルブミンをバイオテクノロジーによって生産することで、鶏卵由来のオボアルブミンと比較して、温室効果ガス排出量を約半分に、土地利用の必要量を約90%削減できるとされています。
特に、低炭素エネルギーを利用することで、環境負荷の低減効果はさらに大きくなります。
細胞培養による製品の生産では、一般的な農産物の生産よりも多くの電力を必要とするため、使用するエネルギー源の種類が環境負荷の大きさを左右します。
一方、微生物による生産では、通常、動物由来の生産方法と比較して、タンパク質1 kgの生産に必要なグルコースやその他の栄養成分を大幅に少なくできます。
工業規模で生産した場合の環境負荷については、まだ十分に検討されていませんが、細胞培養によって生産されるオボアルブミンは、鶏卵由来の卵白粉末に代わる持続可能な選択肢となる可能性があります。
Timegated Raman技術の貢献
細胞を利用したオボアルブミン生産は、畜産による生産と比較して環境負荷を低減できますが、原材料の使用量をさらに削減できる可能性があります。収率を向上させ、より良い生産結果を得るために、プロセスを連続的にモニタリングすることで、環境への負荷をさらに低減できます。

PicoRaman分光器を使用してバイオプロセスをモニタリングし、解析するAmuthachelvi Daniel博士。
今回のパイロット研究では、オボアルブミンを生産するよう遺伝子改変された糸状菌、Aspergillus oryzae(麹菌)を、容量5 Lのバイオリアクターで培養しました。
現在、このバイオリアクターにおいては、pH、温度、溶存酸素といった一般的なオンライン発酵パラメータを超える、高度なオンラインモニタリング装置の利用は依然として限られています。
そこで、TimegateのPicoRaman分光器をバイオリアクターに設置し、バイオプロセスの連続モニタリングを開始しました。
このモニタリングにより、培地中の栄養状態を継続的に観察できるようになります。これは培養状態を健全に保ち、目的化合物の収率を向上させるうえで役立ちます。さらに同じ測定データを用いて、プロセス中のバイオマス濃度と基質消費量をモニタリングすることも目指しています。バイオプロセスをモニタリングする1週間の取り組みが終了した後、その結果を公開する予定です。続報をお待ちください。

最先端のPicoRaman M3分光器をバイオリアクターにシームレスに統合し、バイオプロセスを高精度にモニタリング・解析。
今回のバイオプロセスモニタリングおよび検証は、VTTの専門家であるJuha Tähtiharju氏、Sirpa Holm氏、Jaana Uusitalo氏、Hans Mattila氏、Kiira Vuoristo氏、Jari Havisto氏との共同作業により実施されました。
本パイロット研究の結果については、以下の記事をご覧ください。
「Timegated® Ramanによる有望なバイオプロセスモニタリング結果」
上記原文:Bioprocess monitoring with Timegated® Raman improves the production efficiency
試料の種類や測定条件についての事前相談も可能です。Timegateラマンの資料・製品情報は、こちらからどうぞ。
