

Timegated® Raman測定 ― 環境光による干渉を効果的に抑制
従来の連続波(CW)ラマン分光法では、試料室の外で環境光のある状態で測定すると、スペクトルに幅広いバックグラウンド干渉や、明瞭な干渉バンドが現れることがあります。
このため、柔軟で利便性の高い測定配置の使用が制限され、密閉されたサンプリングシステムを使用せざるを得ない場合があります。[1、2]
時間分解測定では、検出器は極めて短い時間だけ、繰り返し作動します。
時間分解ラマン分光法で使用されるパルスレーザーは、瞬間的に非常に高いパルスエネルギーを持っています。
そのため、瞬間的に発生するラマン散乱の「バースト」は、従来のCWラマン散乱と比較して非常に高い強度になることがあります。
これらの特性により、短い時間を繰り返し設定し、その時間内に多くのラマン散乱光を取得できます。
つまり、取得されるラマン散乱信号と背景放射との比率を高くすることができます。
このため、時間分解ラマン分光法は、環境光や熱放射のような連続的なバックグラウンド干渉の影響を大幅に受けにくくなります。
この干渉除去性能は、異なる強度の環境光のもとで時間分解測定を繰り返すことによって確認できます。以下の掘削コア試料の測定は、3種類の照明条件で実施しました。
- 密閉した試料室内
- 開放した試料室内
- 明るいランプの前
測定には、Timegate InstrumentsのPicoRaman分光器と532 nmのパルスレーザーを使用しました。各環境光条件における測定時間は2分間です。

掘削コア試料を、密閉した試料室内に設置しました。
これは、CWラマン分光法で一般的に用いられる測定配置です。

室内照明(蛍光灯)を点灯した状態で、試料室を開放しました。

室内照明に加えて、開放した試料室の前に明るい光源を設置し、試料へ直接光を照射しました。
これら3種類の照明条件で測定したスペクトルを以下に示します。
スペクトルから分かるように、明るい光を測定位置へ直接照射した場合でも、環境光が測定結果に与える影響はわずかです。

異なる照明条件で測定した3つのスペクトルの差は、わずかです。
時間分解ラマン分光法は、明るい環境や照明条件が変化する環境の影響を受けにくいため、利便性の高い測定を可能にします。
また、環境光を完全に遮断するための遮光カバーも必要ありません。これにより、柔軟で開放的なサンプリングおよび測定配置を使用できます。
時間ゲートラマン分光法について詳しく知りたい方は、下記3DラウンジにPicoRamanM3カタログやSamplecubeの情報を掲載しています。展示室に入室してご覧ください。
参考文献
[1]Vandenabeele P., Practical Raman Spectroscopy – An Introduction, John Wiley & Sons, 2013, p. 44.
[2]Zhao J., Short M., Braun T., Lui H., McLean D., Zeng H., Journal of Biomedical Optics, 2014, 19(11).
本記事は、Timegate Instruments社の原文記事を日本語に翻訳・編集し補足説明を加えたものです。
https://www.timegate.com/resources/blog/effective-suppression-of-ambient-light-interference
試料の種類や測定条件についての事前相談も可能です。Timegateラマンの資料・製品情報は、こちらからどうぞ。
